MODEL & SHOOTING
撮影モデル写真・動画の二次利用|広告の使用期間と許諾を管理するチェックリスト
株式会社Sunday Park / 公開:2026.10.05
LPに掲載できるモデル写真が、そのままSNS広告にも使えるとは限りません。撮影済みの写真や動画を展開するときは、媒体、期間、地域、編集の範囲を、実際の契約と照合します。出演者の同意と写真・映像の著作権も別の確認です。この記事では、二次利用を検討する担当者向けに、利用条件表と素材台帳の作り方を紹介します。


CONTENTS / この記事で分かること
記事の全体像を図で確認する
- 出演・肖像本人・事務所との合意
- 写真・映像・音各権利者の利用条件
- 掲載・配信媒体・期間・編集範囲
- 公開後の管理素材ID・停止担当・期限
二次利用は、元の合意と「追加したい使い方」の差を見る
実務でいう二次利用は、最初に決めた用途から別の媒体へ展開する、使用期間を延ばす、別の広告へ編集して使う、といった場面を指します。何が追加利用になるかは契約によって異なるため、「二次利用可」の一言だけで判断しないことが大切です。
確認すべき対象は少なくとも三つあります。モデル本人や所属事務所との出演・肖像利用の合意、写真や映像を制作した側の著作権等の取扱い、音楽・背景作品・場所など別の素材や撮影条件です。モデルの同意書1枚で、写真・映像・音楽の全ての権利が処理できるわけではありません。
文化庁の著作物の利用と著作権の解説では、制作費を払ったことだけで依頼者が著作者になるわけではないと説明されています。また、文化芸術活動に関するFAQは、肖像に関する利益と、著作権・実演家の権利などを分けて扱っています。
本記事は発注・運用時の確認項目を整理するもので、契約書のひな形や個別案件の適法性を保証するものではありません。既存契約の解釈が分かれる場合や、新しい用途を含める場合は、権利者・所属事務所・制作会社へ確認し、必要に応じて弁護士等に相談してください。
「どこで・いつまで・どう使うか」を具体的に書く
「Webで使用」「SNS用」「買い取り」といった短い言葉は、当事者が想定する範囲を確認する出発点です。LPだけか、有料広告も含むか、出演者の投稿を広告として配信するかで条件が変わる場合があります。期間や対価に、業界共通の一律ルールがあると考えないようにしましょう。
| 項目 | 具体的に記録すること |
|---|---|
| 広告主・商品 | どの会社の、どの商品・サービスの表現か |
| 対象素材 | 写真のサムネイル、動画の素材ID、該当テイク・完成版 |
| 媒体・掲載先 | LPのURL、SNSのアカウント、有料広告の媒体・配信形態 |
| 利用期間 | 開始日と終了日、起算条件、延長を相談する時期 |
| 地域 | 広告の配信対象と、Web上の公開範囲の扱い |
| 編集 | 切り抜き、字幕、合成、色調、音声、別素材との組合せ |
| 競合条件 | 他社出演を制限するか。対象カテゴリー・期間など |
| 確認と追加費用 | 事前チェックの有無、追加利用・延長の確認先と対価 |
| 終了時の扱い | 広告停止、公開ページの差替え、既存投稿やアーカイブの扱い |
文化庁の利用許諾契約の説明でも、対象作品と利用の範囲を特定し、改変の扱いを確認する重要性が示されています。日本モデルエージェンシー協会の出演依頼フォーム・Q&Aでは、媒体、使用期間、競合条件などを確認する形になっています。こうした資料も参考に、実際の契約条件へ落とし込みます。
WORK & INSIGHT
編集の前に、必要な場面を撮る。
広告動画に使用することを前提に撮影した、CONCとC COFFEEのモデル素材です。完成動画と素材を分けて見ると、演者だけでなく、場所・表情・動作を発注時に決める意味が分かります。
株式会社ユーグレナ様
CONC リンクルインジェクション
広告運用と、記事LP・モデル撮影・動画制作を支援。制作物をまとめて確認できる支援事例です。
- 担当範囲
- 広告運用・記事LP制作・広告動画用のモデル撮影・動画クリエイティブ制作

株式会社MEJ様
C COFFEE EQUOL & ISOFLAVONES
「エクオールラテ」という訴求コンセプトを設計。広告運用、記事LP、撮影、動画制作まで支援しました。
- 担当範囲
- 訴求コンセプト設計・広告運用・記事LP制作・広告動画用のモデル撮影・動画クリエイティブ制作

- 商品の説明に必要な、表情・手元・動作を具体化する。
- 縦型動画と記事LPの両方で使う場合は、構図の余白を確認する。
- 納品するカットと、その使用媒体・期間を依頼条件に残す。
掲載している商品説明・価格・キャンペーンは制作時点の内容です。掲載制作物だけから、配信成果や個別案件の費用を判断することはできません。
記入例:LP用に撮った素材をSNS広告へ広げる
次は、架空の生活雑貨ブランドが同じモデル素材を使う場合の例です。確認方法を説明する仮設定であり、実在する契約・案件・料金ではありません。元の合意には自社LPと公式Instagramの通常投稿が含まれ、有料広告は未確認という前提です。
| 使い方 | 確認できた範囲 | 公開前の判断 |
|---|---|---|
| 自社LP | 指定した商品ページ、2026年11月1日〜2027年1月31日 | 承認済み写真と編集条件で使用 |
| 公式Instagramの通常投稿 | 指定アカウントの投稿。終了後の残置は未確認 | 投稿の終了時の扱いを追加確認 |
| Metaの有料広告 | 元の条件表に記載なし | 配信開始前に追加利用の可否・条件を確認 |
| TikTok用の縦型再編集 | 別媒体と動画編集が未確認 | 出演・映像・音源・編集範囲を別々に照合 |
| 店頭POP | Web利用とは別の媒体 | 印刷物の用途・数量・掲出期間等を確認 |
この場合、「SNSの使用許可があるから広告も大丈夫」とは判断しません。広告主、素材ID、配信媒体、開始・終了日、編集案をまとめて、契約上の確認先へ問い合わせます。OKの回答が来たら、どの条件に対する承認なのか分かる形で保存します。
出演者のアカウントを使った広告配信では、契約上の許諾だけでなく、プラットフォーム上の承認や設定も確認します。仕組みの例はSpark Adsの利用許諾と配信前チェックを参照してください。アプリの操作で承認されたことだけを、全媒体・全期間の利用許諾と解釈しないようにします。
切り抜き・字幕・生成AI加工は、編集内容まで確認する
横型動画を縦型へ切り抜く、写真へコピーを入れる、短い動画に組み直すなどは、広告制作で起こりやすい作業です。許可された編集範囲を確認し、モデルの表情や発言が違う意味になる加工、使っていない商品を推薦しているように見せる編集は避けます。
追加確認では、抽象的な「加工します」より、完成イメージと編集箇所を示します。たとえば「正方形へのトリミング」「商品名の字幕追加」「別の音楽へ差し替え」「発言の前後を短縮」では、それぞれ確認点が異なります。商品説明が変わるなら、広告表現の審査も必要です。
生成AIで顔・体・声を変える、別の場面を合成する、学習や生成の素材として外部サービスへ渡すことも、通常のトリミングと同じ扱いにはしません。元の利用条件、本人等との合意、サービスのデータ利用条件を確認し、未確認のままアップロードしないでください。ここでは個別のAI加工が適法かどうかを一律に判断しません。
写真の利用許諾と、音源の広告利用許諾も別です。SNSで選択できる音源が、全て企業広告に利用できるとは限りません。投稿から広告へ展開する場合は、映像だけでなく音楽・効果音・フォント等の利用条件も確認します。
素材台帳には、使える条件と実際の掲載先をつなぐ
フォルダー名が「使用OK」だけだと、期限や媒体の違いが失われます。素材の一覧と、どこに掲載しているかの一覧を素材IDでつなぐと、終了時の漏れを防ぎやすくなります。モデルの私的な情報を台帳へむやみに増やさず、業務上必要な識別情報と確認先に絞ります。
| 管理項目 | 架空の記入例 |
|---|---|
| 素材ID・版 | MD-021/保持写真・承認版v2 |
| 許諾の記録 | 案件の条件表v3と承認メールを、限定共有フォルダーに保存 |
| 許可された用途 | 指定商品LP。通常投稿・有料広告は条件表の媒体別欄を参照 |
| 利用終了 | 2027年1月31日。更新相談日は社内で別途設定 |
| 実際の掲載先 | LPのURLとエリア名、広告ID、投稿URLを別表で管理 |
| 作業担当 | LP差替え担当、広告停止担当、最終確認担当 |
| 終了後 | 停止・差替えの日時、証跡、残存箇所の有無を記録 |
編集済みの派生ファイルにも元の素材IDを残します。写真1枚から作ったバナーが複数ある場合、元写真の利用終了が分かっても、どの広告を止めるかが追えなければ運用できません。制作会社や代理店が変わるときは、元データだけでなく、この対応関係と条件を引き継ぎます。
利用終了日は、広告を止めるだけで完了にしない
期限が来た素材を広告管理画面で停止しても、LP、予約投稿、古いバナー、販売店向け素材が残る場合があります。終了日より前に掲載先一覧を確認し、差し替える素材を準備します。延長相談に必要な日数は相手や契約で異なるため、終了直前に連絡する運用を避けましょう。
- 配信中の広告と予約された広告を確認する
- LP、商品ページ、バナー、OG画像などの掲載箇所を確認する
- 通常投稿やアーカイブを残せるか、契約と照合する
- 外部の制作・運用・販売先へ渡した素材の扱いを確認する
- CDNやサイトのキャッシュを含め、差替え後の公開表示を確認する
- 停止・差替え担当と最終確認担当が、完了を記録する
- 未解決の掲載先があれば、確認先へ状況と対応を相談する
契約で削除や利用停止が必要な範囲と、監査・紛争対応等のために限定保管する記録の扱いは同じではありません。保管を許される範囲も確認し、「公開を止めたから全データを消す」「保管しているから再利用できる」といった一括判断を避けます。
撮影の発注時に、将来の使い道も相談する
後から使い方が増える可能性があるなら、最初の見積もりで予定を伝えます。たとえば「当初はLPとMeta広告で使い、結果を見てTikTokへの展開を検討する。利用期間を延長する場合の確認方法も知りたい」と相談すれば、最初から含める範囲と、後で追加確認する範囲を分けられます。
追加料金は、出演者、媒体、期間、競合条件、編集や素材の権利などによって異なります。一定の割合や一律料金を前提にせず、確認した範囲と対価を見積もりに残しましょう。撮影費の整理はモデル撮影の費用と見積もり、発注条件はモデル撮影の依頼方法を参照してください。
モデル素材を広告やLPへ展開する撮影を相談したい場合は、予定している媒体・期間・制作物をお知らせください。撮影・制作の条件を整理したうえで、関係者への確認範囲を明確にします。
参考情報・出典
- 文化庁|著作物の利用と著作権について制作費の支払いと著作者・利用権の違い/確認:2026-10-05
- 文化庁|利用許諾契約の内容対象作品、利用範囲、改変等の確認。本文の表は独自の確認用例/確認:2026-10-05
- 文化庁|文化芸術活動に関する法的問題のFAQ肖像、著作権、実演家の権利等の区別/確認:2026-10-05
- 日本モデルエージェンシー協会|キャスティング依頼・Q&A媒体・期間・競合等の依頼条件。個別契約を優先して確認/確認:2026-10-05