AD OPERATIONS
広告運用広告代理店を切り替える手順|権限・計測・請求の引き継ぎチェックリスト
株式会社Sunday Park / 公開:2026.10.05
広告代理店の切り替えでは、運用担当が変わるだけでなく、誰が予算を変更し、どの計測を使い、どこへ請求されるかも変わることがあります。解約連絡の前に確認することから、切替当日の受け入れ判定まで、新旧代理店と広告主で共有できる形に整理します。


CONTENTS / この記事で分かること
記事の全体像を図で確認する
- 契約を確認期限・費用・納品範囲
- 資産を棚卸し権限・計測・請求・素材
- 受領を試す操作と成果計測を確認
- 切替を判断責任者と交代時刻を合意
- 継続を確認配信・請求・成果を照合
切り替える理由を、次の代理店が解く課題に変える
まず、今の不満を作業単位にします。「成果が悪い」なら、計測の不備、集客のずれ、制作本数の不足、LPの問題、営業対応の遅れのどこに課題があるかを整理します。代理店を替えても、改善対象が曖昧なままでは同じ問題を引き継ぐ可能性があります。
たとえば「毎月の報告は届くが、次に試す案と担当が決まらない」なら、新しい依頼先には報告書の枚数より、仮説・実施者・制作予定・検証日をそろえる仕事が必要です。「素材の修正に時間がかかる」なら、運用担当だけでなく制作の担当範囲と承認経路を比較します。
候補会社の比較自体は広告運用代理店の選び方で整理できます。本記事は、交代を検討・決定した後の実務が中心です。社内への移行を主目的にする場合は、教育や代行者の設計も必要になるため、インハウス化の移行手順を併せて確認してください。
切り替えの成功条件は、開始日にログインできることだけではありません。広告が配信でき、意図した成果を数え、予算と責任者が明確になり、必要な制作を続けられる状態を完了条件にします。
解約連絡の前に、契約と引き継ぐ資産を確認する
現行契約の解約通知期限、最低契約期間、終了月の費用、作業中の制作物、納品範囲、追加の移行作業の扱いを確認します。終了日を先に決めてしまい、必要な準備期間が残らないことを避けるためです。条項の解釈や権利関係に争いがある場合は、法務担当や専門家と確認してください。
次に、広告アカウント、計測、制作ファイル、LP、分析環境を分けて棚卸しします。「広告費を自社が払っているから、すべて自由に移せる」「管理者権限があれば、すべての著作権も持っている」とは判断できません。媒体上の権限と契約上の利用条件は、別々に確認します。
| 対象 | 確認事項 | 受領するもの |
|---|---|---|
| 広告アカウント | ID・管理構造・自社のアクセス・利用継続可否 | 権限一覧と実際のアクセス確認 |
| 成果計測 | データソース・イベント・タグ・共有元 | 定義表、設定記録、テスト結果 |
| 請求 | 支払者・支払方法・未精算費用・切替条件 | 請求の境界と担当者 |
| 広告・素材 | 編集元、出演・音源・画像の利用条件 | 納品物、利用期限、使用範囲 |
| LP・フォーム | 公開先・修正権限・ドメイン・通知先 | 構成、公開手順、障害時連絡先 |
| 運用知見 | 過去の変更理由と中止した施策 | 変更履歴、レポート、未完了課題 |
編集データが納品範囲に入らない素材は、完成データを使い続けられるか、追加契約や再制作が必要かを分けます。出演者の広告利用期限や投稿の利用許諾も、代理店交代で自動的に延長されるものとして扱わないでください。
WORK & INSIGHT
移管する制作資産を、工程ごとに洗い出す。
広告動画、記事LP、撮影したモデル素材はそれぞれ別の資産です。下の支援事例の担当範囲を参考に、自社で引き継ぐファイル、公開環境、利用条件を一覧にしてください。これらの案件が代理店切替の実績であることを示すものではありません。
株式会社ユーグレナ様
CONC リンクルインジェクション
広告運用と、記事LP・モデル撮影・動画制作を支援。制作物をまとめて確認できる支援事例です。
- 担当範囲
- 広告運用・記事LP制作・広告動画用のモデル撮影・動画クリエイティブ制作

株式会社MEJ様
C COFFEE EQUOL & ISOFLAVONES
「エクオールラテ」という訴求コンセプトを設計。広告運用、記事LP、撮影、動画制作まで支援しました。
- 担当範囲
- 訴求コンセプト設計・広告運用・記事LP制作・広告動画用のモデル撮影・動画クリエイティブ制作

- 広告運用・記事LP・撮影・動画制作の担当範囲を分ける。
- 配信後の課題を、原稿・素材・編集のどこへ戻すかを決める。
- 成果数値を比較する際は、期間・費用・計測条件を別途確認する。
掲載している商品説明・価格・キャンペーンは制作時点の内容です。掲載制作物だけから、配信成果や個別案件の費用を判断することはできません。
同じアカウントを使う場合も、共有元への依存を調べる
Google広告では、MCCとのリンク解除そのものによって個別アカウントのキャンペーン履歴が失われるわけではありません。ただしGoogle公式のリンク解除に関する説明は、共有リマーケティングリスト、クロスアカウントのコンバージョン計測、請求への影響を挙げています。
たとえば旧MCCの共有コンバージョンを使っている場合、解除後のクリックについてそのタグが記録しなくなることがあります。月次請求で旧MCCが支払管理元なら、請求設定を先に切り替えないと配信が停止します。「アカウントは継続する」と「周辺設定も継続する」を分けて確認します。
Google公式のクロスアカウント計測手順では、必要なタグを事前に設置し、切り替え時に最適化対象の目標を確認すること、過去クリックの成果を取り逃さないため旧タグをコンバージョン期間に応じて残すことが案内されています。計測を移す場合は、新旧イベントを無計画に主要成果へ重複登録しないよう、運用担当と実装担当で計画します。
MetaやTikTokなどでも、広告アカウント以外にページ、Instagramアカウント、データソース、カタログなどの接続を個別に確認します。媒体によって所有・共有・移管の扱いは異なるため、Googleの手順を他媒体へそのまま当てはめません。TikTokで共有Pixelを使う場合は、共有Pixelの公式利用条件と、切替先がそのPixelを選択できるかを確かめます。
新旧代理店と広告主で、担当と合格条件を一行ずつ決める
次の表は、架空の法人向け家具レンタル事業がGoogle検索広告の運用を交代する例です。日程や権限状態は教材用で、実際の顧客情報や移管実績ではありません。広告主が最終承認者となり、旧代理店は現状説明、新代理店は受領確認を担当する想定です。
| 作業 | 実施・確認 | 完了の証拠 | 未完了時 |
|---|---|---|---|
| 既存アカウントの操作確認 | 広告主が共有、新代理店が確認 | 対象IDで閲覧・必要な編集範囲を確認 | 切替を延期 |
| 問い合わせ成果の定義 | 旧代理店が説明、開発担当が検証 | 正常送信とエラー時のイベントを確認 | 広告開始前に修正 |
| 請求の切り替え | 経理が設定、広告主が確認 | 適用開始日と支払管理元を確認 | 旧接続を外さない |
| 使用中の広告素材 | 旧代理店が一覧化、制作担当が受領 | 素材ID・使用期限・納品先を照合 | 使える素材に限定 |
| 運用責任の交代 | 広告主が承認、新旧担当が確認 | 交代時刻と変更担当を合意 | 同時編集を避ける |
| 旧権限の整理 | 広告主が実施、新代理店が再確認 | 権限一覧と依存関係を確認 | 必要な接続だけ期限を設定 |
共有フォルダーに資料を置くだけでは、受け取れたか分かりません。受領者が開けること、設定の意味を説明できること、実作業を進められることまで確かめます。パスワードを台帳へ書かず、媒体の招待・パートナー共有など適切な方法でアクセスを付与します。
旧代理店が対応できる作業と期間も合意します。「新代理店が分からなければ、いつでも旧代理店へ聞ける」という前提は置かず、未解決項目と質問窓口を終了前にまとめてください。
切替当日は、変更を増やさず責任の境界を確認する
日数の目安を一律に置くより、準備が終わったかで切り替えを判断します。新旧代理店の確認期間を設けても、同じキャンペーンを同時に編集しないルールが必要です。権限の重複と、運用指示の重複を区別します。
- 開始前の状態を保存する。予算、配信状態、対象、主要成果、除外、素材、LP、請求の設定と変更履歴を記録する。
- 新しい担当者が確認する。必要な操作、成果の受信、素材の利用、支払いの準備を点検し、問題を一覧へ戻す。
- 広告主が切替可否を決める。不明な権限、未確認の計測、未確定の請求が残れば、実施日を見直す。
- 責任の交代を宣言する。指定時刻から予算や停止を判断する人を一本化し、直前変更の有無を共有する。
- 必要な接続を順に変更する。影響確認後に不要な旧権限を外し、配信・成果・請求を再点検する。
Googleの解除操作では、公式手順にある影響のプレビューを読んでから判断します。切り替えと同時に大幅な予算増減、入札変更、LP公開を重ねると、問題が起きた理由を追いにくくなります。改善を急ぐ場合も、移管作業と改善施策の記録は分けます。
異常時の連絡先、判断者、戻せる設定、戻せない変更を事前に確認します。すべてを即座に以前の状態へ戻せるとは限らないため、「計測が届かなければ広告主へ連絡し、新規変更を止める」など具体的に決めておきます。
移管後の成果は、条件をそろえて評価する
切替直後は、まず広告が配信できているか、想定外に費用が進んでいないか、フォームや購入が動くか、成果が届くかを確認します。問い合わせの受付先や営業への通知が変わっていないかも、実際の業務側から確かめます。
成果比較では、同じCV名でも中身が変わっていないかが重要です。たとえば切替前はボタンクリック、切替後は送信成功なら、件数が減っても単純に運用悪化とはいえません。計測定義が変わった日をレポートに記し、広告主の受注・有効相談の基準でも比較します。
契約終了月の請求も、広告費、運用費、制作費、移行作業費を分けて確認します。新旧の請求対象期間が重なる場合、それが合意した並走作業なのか、想定していなかった費用なのかを整理します。費用の比較軸は広告運用代行の見積もりも参考になります。
新規アカウントを作る必要がある場合は、過去履歴や共有データがそのまま移せると考えず、再設定・審査・計測検証・比較方法を別計画にします。既存アカウントの継続でも、成果の維持や改善は保証されません。条件の変化と運用施策を分けて振り返ることが、次の改善につながります。
引き継ぎ完了のチェックリスト
- 契約終了日、通知期限、最終費用、納品範囲を確認した
- 広告主自身が必要な資産と権限を把握している
- アカウント・計測・請求・素材・LPごとに継続利用可否を確認した
- 共有元の接続を外した場合の影響を調べた
- 新代理店が必要な操作と成果の受信を確認した
- 素材の権利、利用期限、修正用データの扱いを記録した
- 予算変更と配信停止の判断者、交代時刻、緊急連絡先を決めた
- 不要な旧アクセスを整理し、残すものには目的と見直し日を置いた
- 最終請求と切替後レポートの比較条件を確認した
完了の報告は「一式引き継ぎ済み」より、「何を受け取り、何を試し、何が残っているか」で残します。担当が再び変わったときにも、その記録が次の出発点になります。
公式情報の確認日:2026年10月5日(日本時間)。媒体の権限・請求仕様と個別契約は別に確認してください。本記事は一般的な進行整理であり、特定契約の法的判断や移管の可否を保証するものではありません。
参考情報・出典
- Google:About unlinking accounts from your manager account履歴、共有リスト、共有計測、月次請求への影響(2026年10月5日・日本時間確認)/確認:2026-10-05
- Google:Set up cross-account conversion tracking切替時のタグ維持と最適化目標の確認(2026年10月5日・日本時間確認)/確認:2026-10-05
- Google:MCCアカウントからアカウントのリンクを解除する必要な権限と解除前の影響プレビュー(2026年10月5日・日本時間確認)/確認:2026-10-05
- TikTok:共有されたピクセルで広告を作成する方法共有Pixel利用前の確認事項(2026年10月5日・日本時間確認)/確認:2026-10-05